研究概要
水問題はSDGsにも掲げられる大きな課題です。水の浄化技術は、沈降分離法とろ過法の2つが主な分離技術として用いられます。前者は、分離が遅い欠点があり、後者は目詰まりが課題です。我々は、砂鉄と同じ成分であるマグネタイトを活性汚泥や消化汚泥に添加すると、磁気分離が適用できることを見出しました。高速で目詰まりしない、game change的発想で新たな水処理技術を再開拓することを目標としています。
磁気分離を利用した生物学的水処理法として、活性汚泥法に磁気分離を磁化活性汚泥法やメタン発酵に磁気分離を導入した磁化メタン発酵を提案し、実用化に向けて研究を進めています。
(参考HP, Chemical Engineering News,”Cleaning Up Wastewater Magnetically”; Nature News,”Magnetic bugs cut sewage sludge”)。200m3/日の汚泥分離を可能とする実用磁気分離ユニットの開発、食品排水処理プロセスへの活用などを企業と共同研究しています。Research MAPもご参照下さい。
教育・研究活動の紹介
学生の教育活動では、水環境保全技術などで、環境関連の国家資格である公害防止管理者の資格取得を勧めています。毎年、数名以上合格しています。卒・修論研究では、1人年3回以上の学会発表を目標に、自ら研究推進できる研究力の育成を目指しており、学会等の優秀発表賞も多数受賞しています。企業との共同研究では、H29年度の環境賞(優秀賞)を受賞しました。(http://biz.nikkan.co.jp/sanken/kankyo/)
今後の展望
磁気分離による生物学的水処理技術を実用化まで発展させて、簡単、確実、省エネ、高速な新しい水処理技術の体系を構築してゆきたいと考えています。磁気分離を活用した水再生技術に興味ある企業や大学関係者との共同研究を希望しています。水再生工学に磁気分離を活用した水処理法の新分野を開拓したいと考えています。
社会貢献等
電気学会の委員会活動のひとつとして、磁気力制御・磁場応用夏の学校を複数の大学で連携して毎年開催しています(HP:磁気分離&磁気力制御)。また、日本・中国・韓国の同じ分野の研究者と国際フォーラムも毎年開催しています。企業との共同研究から、磁気分離を利用した排水処理方法に関する特許も取得しています。共同研究、技術移転についても積極的に対応いたします。