研究シーズ集

バイオサイエンス教育研究センター

准教授 野村 崇人のむら たかひと

植物生理化学研究室
野村 崇人
キーワード

植物ホルモン
植物の生長制御

分野

植物生理学・植物分子生物学・天然物有機化学

研究テーマ

・植物ホルモンに制御される植物生長のしくみを解明
・植物ホルモンの生合成経路の解明
・植物生長を制御する新規シグナル分子の探索

所属学会等

植物化学調節学会・日本植物生理学会・日本農芸化学会

URL

MAIL

tnomura※cc.utsunomiya-u.ac.jp(※を半⾓@に変換してください)

TEL

028-649-5149

研究概要

植物の生長·分化におけるほとんどの過程には植物ホルモンと呼ばれている内生生理活性物質が関与しています。したがって、それらの生合成や作用機構を解明すれば、植物の生長生理現象の多くを理解することができます。さらに、その働きを利用すれば、植物の生長制御、延いては農業生産の向上に結びつけることができます。
植物ホルモンの一種であるストリゴラクトンは、植物体内では枝分かれを制御し、根圏に放出されるとアーバスキュラー菌根菌(AM菌:リン酸供給菌)の共生と根寄生植物(雑草)の寄生を誘導する作用を持ちます。植物におけるストリゴラクトンの生合成経路は不明であり、その解明に向けた研究を行っています。ストリゴラクトンの生合成の解明が進むと、その調節による地上部の形態制御、AM菌共生の促進による生産性の増大、さらには世界中の農業生産に壊滅的な被害を与えている根寄生植物の画期的な防除法の開発が可能になるものと期待されています。

ストリゴラクトンを作れないシロイヌナズナ(左)と正常なシロイヌナズナ(右)

教育・研究活動の紹介

本研究室では、植物の生長のしくみを化学物質という分子の視点から理解するため、有機化学的(同定·定量)、生理学的(投与実験)および分子生物学的(遺伝子解析)な研究手法を用いて植物ホルモンの生合成経路やその調節機構に関する研究を行っています。世界的に見ても、植物ホルモンなどのナノモルレベルの天然有機化合物の化学分析に関して習熟している研究者は少なく、その分析を行えるのは日本国内でも限られた研究室だけです。

今後の展望

植物ホルモンの生理作用は、種子の発芽、根·茎·葉の成長、脇芽の成長、花の形成から種子の成熟など多岐にわたります。また、乾燥や病害虫などに対する抵抗性にも関与しています。実験室から農業生産への応用展開を考えて研究を進めていきたいと考えています。農作物の生産において求められている生長制御技術がありましたらお声かけいただければと思います。

社会貢献等

地球上でますます増えていく人を養っていくためには、一年間に3000万トンずつ食料を増産していかなければなりません。そのためには植物の力を活かした食料増産が不可欠です。その現状と解決策の一つを知ってもらうために、高校生を対象に植物ホルモンに関する出前授業と実験実習を行っています。