研究概要
フランスの哲学者であるエマニュエル・レヴィナス(1906~1995)の哲学から、「教育の倫理」、「教育実践のあり方」を問いなおすこころみを続けています。「教育」とは、「学ぶ」いとなみ、「教える」いとなみであると同時に、「ケア」のいとなみでもあります。だから、「教育の倫理」の重要な側面は「ケアの倫理」と重なります。私は、レヴィナスの哲学を「ケアの倫理」として捉えた上で、そこから「教育」のいとなみを捉えかえしたいと考えています。また、このような想いから、例えば、「生と死の教育」の実践をささやかながら、続けてきました。「死」を想うとは、ある意味で、自己の死よりも、他者の死を想うことではないでしょうか。自己が生きている意味は、他者と生きていることから生まれてきているのではないでしょうか。そして、この「他者と生きている」ということがそのまま「ケア」と重なります。こうした視点から、「生と死の教育」に係わる実践をこころみてきました。
詳しくは、是非、「レヴィナス」、「ケアの倫理」、「生と死の教育」、「青柳宏」等で検索してみてください。
教育・研究活動の紹介
私は、県内の小中学校でスクールカウンセラーをおよそ25年間続けてきました。こうした経験と、上に記した哲学的知見を統合して、教育実践(また広く教育のあり方)について語り合うことが出来る、ということが私の強みです。「哲学的」といっても、難しいことを語るのではなく、例えば絵本や詩や童話を素材(教材)にしながら、学生・院生一人一人の感性(感受性)を開いていくような授業をこころがけてきました。
また、長年、附属幼稚園にお邪魔して、幼児教育に係わる研究も続けています。「幼児教育」の視点と、「哲学」の視点と、カウンセリングという「臨床」の視点の交点として「教育・人間形成」を捉えたいと思い、教育・研究を続けています。
また私は主に小学校の現場で、「詩の授業」を長年行ってきました。「詩」を子どもが読み書くことを通して、自身の内に「ことば」を育んでいくこと、言い換えれば「詩」を通して「感受性」を育んでいくこと、それを願って続けています。
今後の展望
これまで主に小中学校で授業をしてきましたが、高校でも「生と死の教育」、「詩の授業」、「人生をケアとして見つめなおす授業」等を行ってみたいと考えています。
社会貢献等
スクールカウンセリングの経験をふまえ、子ども(思春期を含む)の心の問題について取材等を受けたいと思います。学校等の教育機関において、特に「対話」「表現」等の視点からの授業・研修のサポートが出来ると思います。また、「対話」「表現」等に係わる教育についての取材等を受けたいと思います。