研究概要
感性情報工学は,人間の感覚を通して喚起される感情や情動を包含する複合概念である「感性」を,情報工学的手法によって定量化,モデル化し,現実社会における製品設計やサービス開発に応用する学際的研究分野です.私は感性情報と生理情報,各種成分分析情報を多角的に解析することで,人間の感情・認知メカニズムの解明と,より豊かな生活環境の実現に向けた研究を行っています.
教育・研究活動の紹介
感性に関する研究の1つとして香りが持つ機能性に関する研究に取り組んできました.香りはリラクセーション作用,不安軽減作用といった心理的作用のみならず,鎮静作用,認知機能向上作用,血圧降下作用といった生理学的作用を有することが明らかとなっています.私たちが実施したユズの香りについての研究では,ユズ香気成分分析の他,ユズの香りが持つ抗ストレス作用検証実験に着手し,その研究成果を元に商品を開発,研究成果の社会実装を実現しました.
今後の展望
現在は感性工学とAI技術の融合研究に取り組んでおり,これらの学術的知見を基盤として,人間の多様な感性と先端情報技術の創造的連携による社会的価値創出を目指しています.また,多様な分野の研究者との協働や産学官の連携を通じて,単一学問領域の枠を超えた学際的な研究に挑戦し,新たな学術的,革新的発見を目指した研究に取り組みます.
社会貢献等
特許出願状況: 抗ストレス作用を有するユズ調合香料(特願2021-110650)
産学連携: 床井柚子園(宇都宮市)とのMiyayuzu Room Spray開発,宇都宮市大谷振興室との大谷石地下採掘場跡の有効活用に関する研究など