研究シーズ集

工学部

教授 矢嶋 徹やじま てつ

基盤工学科・情報電子オプティクスコース 
矢嶋 徹
キーワード

非線形波動,応用数学,数理物理,物性基礎論

分野

数理物理学,物性基礎論

研究テーマ

・物質(流体など)における非線形波動,非線形発展方程式の解析
・可積分方程式の数理構造と確率論への応用
・離散発展方程式とその応用の数値解析

所属学会等

日本物理学会,日本応用数理学会

特記事項

複雑な現象の理論的・数値的解析が可能です。

MAIL

yajimat※cc.utsunomiya-u.ac.jp(※を半⾓@に変換してください)

TEL

028-689-6249

研究概要

非線形波動とは、重ね合わせ(線形性)が成り立たない波のことです。高等学校などの学校教育の場で学ぶ波では、複数の波が到来した場合、その高さ(信号の強度)はそれぞれの波を合計したものになりますが、ある種の波ではその性質がみたされません。非線形波動の例は古くから知られていますが、その背後にはある特有の物理的特性の競合や数理的構造の存在があることがわかってきました。またこれらにより、非線形波動が信号として極めて安定的に伝わることが解明され、その応用が期待されています。さまざまな物質中の非線形波動、またそれを記述する非線形発展方程式の理論的・数値的な解析を行い,新しい現象を探究しています。
非線形波動の数値解析には誤差や方程式自体の安定性など,解決すべき難しい問題があります。最近では、計算機の性能を有効に使うことも考えて「離散方程式系」としての非線形波動の問題が提案されています。誤差の少なさや計算の手軽さなどにより、工学上の問題への応用が一般に行われていますが、多粒子の複雑な運動への応用を目指して研究を進めています。

教育・研究活動の紹介

非線形波動の応用にはさまざまな可能性がありますが、数理的な構造が良く、安定な性質を持っていることを利用して信号の伝達などに応用されています。ここでは、流体をはじめとする実際の物質における非線形現象の解析を長く行ってきたことを強みとして、応用上の諸問題における複雑な波動現象の解析に研究上の特徴があります。また、コンピューターによる数値解析では、非線形波動特有の困難を避けるために古くから多くの解析手法が試みられてきました。特に応用問題に頻出する典型的な非線形方程式を中心として、波動の時間発展の解析や、関連する工学上の問題の解決や予想なども行っています。学生向けの指導内容もこれらに準じて行っており、卒業生も学術的な分野だけでなく、企業に進んだ方も広範な分野で活躍しています。

今後の展望

物理や数理などの基礎的分野に中心を置いた研究ですので応用可能性は少ないというイメージを持たれがちですが、上記のように波動としての性質の良さに注目した応用は少なくありません。波動に関連した話題については広くお手伝いできることがあると考えますので、お声をおかけ頂ければ幸いです。

社会貢献等

主に高校生向けに出前授業やSSHなどへの協力を通じ、物理や数理のテーマに興味を持って頂けるような活動を行っています。また、物質中の非線形現象の応用を目指して近隣の企業の方との共同研究も行っています。